【特集 労使見解50年】
自身の存在価値を実感でき社会に必要とされる会社へ
岩山 佳代氏 (株)ダイプラン

私は「会社の人たちを守りたい」という思いで後継者になりました。入社当時の弊社の従業員の特徴として、日雇いから定着した人がほとんどで、個々に事情を抱えており、正規雇用も困難な状況でした。また、自身の存在価値にすら否定的で、その日暮らしのような投げやりな生活をしている人ばかりでした。
私自身、そのような事情を理解できるのは自分しかいないという思いで後継者になったものの、ただ「守りたい」という思いだけで、特に何かを変えようとはしていませんでした。しかし、同友会で関わり、学び、実践していくうちに、少しずつではありますが、自分自身と会社の変化を感じるようになりました。
経営指針書を成文化し、指針発表をするようになってからは自社の目的がより明確になり、どんな事情を抱える人でも人生のリスタートを切れる場所にしたい、誰にでも生きる権利があるのだから、それぞれが存在価値を自覚し、社会の一員として堂々と過ごせるようになってほしいと強く思うようになりました。
その思いを実現するには、「守る」という意識では従業員を依存させ、会社という枠の中に抱え込むだけになってしまうと気づきました。そして、経営者と従業員が信頼し合い、人として対等な関係を築き、共に社会に信頼され必要とされる会社を目指して取り組んでいくことで、従業員も自身の存在価値を実感できるようになるのでないかと考えるようになりました。
その頃、建設業法の改正により正規雇用を余儀なくされましたが、このタイミングでほとんどの従業員が自らの意思で過去や事情と向き合う覚悟を持つことができたため、会社もしっかりサポートをして清算と正規雇用を実現することができました。
現在、社員は社会の一員として堂々と過ごせるようになりましたし、私自身も生きがいを感じています。まだまだ課題は山積みですが、今後は社員が心豊かによりよい人生を歩めるよう、社員と共に取り組んでいきます。









