活動報告

【連載 第9回】我が社と労使関係~「労使見解」50年に寄せて

【特集 労使見解50年】

全社一丸でなければ乗り越えられない時代に

宇佐見 孝氏  宇佐見合板(株)

宇佐見 孝氏
宇佐見 孝氏

今から50年前に『労使見解』が同友会で発表されました。50年前、皆さんはいくつで、何をしていましたか。私は高校生でした。1973年からの第1次オイルショックで物価が飛躍的に上昇している時でした。トイレットペーパーがなく、買い占め騒動が起こって大変な時代です。

何故、そのような物価高騰の時に『労使見解』が作られたのか、考えたことがありますか。当時の日本の経済状況に関係があります。物価が上昇しても、賃金上昇が追い付かない状況でした。そのため各労働組合は賃上げを要求して労働争議が起こるのです。私も覚えています。自宅の周りや工場では赤いはちまきをした工場の人たちが門の前でバリケードを張り、ストライキをしていたことを。

1974年は労働争議が全国で1万件以上もあり、労働者と経営者の溝が大きくなった時でした。翌75年に『労使見解』が同友会で作られ、発表されるのです。つまり労使関係を安定させることが、会社や社会にとって非常に重要になったからです。

私は2代目で、社長=父でした。社長とは父のような人物だとばかり思いこんでいました。同友会に入会したら、こんなに多くの社長がいて、経営の仕方も全然違うことに驚きました。当然、雇用のあり方も違います。弊社では、「社員」ではなく「従業員」でした。従う作業員、言われたことに従うだけの人です。

私が入社した当時、弊社は従業員を50名くらい雇用しており、父は従業員を「犬」だと言っていました。給料を上げる時は尻尾を振って経営者の機嫌をとり、賞与や給料が少ないと文句を言って、酷い時は噛みついてくると言っていました。

私は同友会に入り41年になります。『労使見解』の中には「社員をパートナーとしてとらえ、共に育つこと」とあります。入会当初、父とは全く違う考え方の経営者の団体であることに驚きました。創業者の父のようにワンマン経営でやれるような時代ではなくなり、今は社員の意見や要望に耳を傾け、全社一丸で向かっていかなければ乗り越えられません。これから先は中小企業にはますます厳しい環境になっていくでしょう。経営指針をベースに自立型社員をいかに養成していくかが企業発展のカギになっていくと考えています。