活動報告

【連載 第11回】我が社と労使関係~「労使見解」50年に寄せて

【特集 労使見解50年】

13項目の改善要望書と経営姿勢

加藤 昌之氏  (株)加藤設計

加藤 昌之氏
加藤 昌之氏

1985年の創業後に、不動産バブルで予想外に売り上げが上がりました。社員も11名になり、他社の経営指針書を参考に「独りよがりの経営指針書」を作成し社員に公開、その後、多額の借金をして本社ビル建設を実行に移しました。

1年後に社屋が完成した時にはバブル崩壊で日毎に仕事は少なくなり、そのうち倒産する顧客も出始め、売り上げは急減。社員の間に不安と社長への不信感がありありと見え始めたため、説明会を開催しました。すると、役員から13項目の改善要望書が届きました。私は「これを達成するのに20年は掛かるが一緒に頑張ろう」と説得しましたが、役員から順次独立していきました。

急ぎ採用や社内制度改革で新体制を築きましたが、経営の状態は一向に良くなりません。2000年頃から新市場を見つけ業況の改善が見えてきましたが、その矢先に第2の経営危機がやってきます。社内の不祥事から退社が続出し、社員が半減したのです。原因は社員と正しく向き合っていなかったためで、仕事はあるのに社員はいない状況を招いてしまいました。

再起をかけて残った社員と経営指針を作り直し、「21世紀型企業づくり」を目指しました。先ずは全社一丸となって営業できるよう10年ビジョン「4つのこだわり」を作成し、新市場開拓のために展示会等には一丸となって臨みました。

次に、採用を強化するとともに社員教育にも取り組みました。手始めに「新卒は社長が育てる」「中途は一緒に学んで成長を目指す」とし、この効果には確かな手応えがありました。

2015年に次の新市場を目指すための新ビジョンを出しました。これには以前のビジョンを上回る手応えがあり、業績は飛躍的に良くなっていきました。社員が半減した時期に入社した社員が、今は役員となって会社を牽引してくれています。

社員1人1人の個性を認め、その成長に期待し、共に学んでいく姿勢が大切であることを、退社していった社員から学びました。創業社員の13項目の改善要望は「経営者の経営姿勢」を問われる具体的課題でしたが、その後の社員と共に考え、働き方や待遇を改善してきました。同友会と歩んだ36年は、同友会らしい「人を生かす経営」と共にあったといえます。


本連載は今回をもって最終回となります。