賃上げは地域社会への投資
~地産地消の循環が地域を豊かに
平均賃上げ額×業種

人材確保難で7割超が賃上げ
愛知同友会では、「2026年度賃金・労働調査」を実施しました。調査結果からは、労務費の上昇や社会保険料の負担増という厳しい環境下にあっても、社員の生活を守り、地域経済を支えようと奮闘する経営者の姿が浮き彫りになっています。
調査では、正社員の「賃上げをする」と回答した企業は76・4%に達しました。賃上げ方法では、「基本給の引き上げ(ベアなど)」が59・5%、「定期的な昇給」が56・8%と、月々の固定給を底上げする動きが主流となっています。平均賃上げ額は「1万円以上」が31・2%と最多で、賃上げの主な理由は、「人材確保(67・4%)」や「士気向上(62・9%)」が上位を占めています。一方で、賃上げの原資が「あまりない・ほとんどない」と回答した企業も約40%に上り、収益確保が追いつかない中で、将来への投資として決断を下している実態が明らかとなりました。
最低賃金1500円への危機感
政府が掲げる最低賃金1500円の達成に向けた影響についても調査を行いました。最低賃金が1500円となった場合の経営への影響について、「現在の経営努力の範囲内で対応可能」と回答した企業は50・1%と半数にとどまっています。一方で、企業の約3割が「事業モデルの抜本的見直しが必要(31・5%)」と回答し、12・7%は「雇用の削減・抑制を検討せざるを得ない」という深刻な予測を立てています。
単なる金額の問題だけでなく、社内の賃金体系そのものの再構築を迫られる難局に直面しています。
最低賃金1500円となった場合の経営および雇用維持への影響×業種

価格転嫁と社会保険料が壁
賃上げを継続する上での障壁として、最多の回答は「社会保険料負担の増大(60・3%)」です。自由記述では「賃上げしても社会保険料や税負担で相殺され、社員の手取りが増えない」といった憤りや、「会社負担分が重すぎて利益が残らない」という声が寄せられました。
また、「労務費上昇分の価格転嫁に対する取引先の理解不足(44・7%)」も深刻な課題です。特に下請企業からは、「元請けからの厳しい値下げ交渉があり、断れば仕事がなくなる」といった切実な声が上がっており、適正な対価が支払われる取引環境の整備が急務となっています。
こうした逆風に対し、会員企業はDXによる生産性向上や高付加価値製品への転換、経営指針の共有による働きがいの改革など、外部環境に左右されない「自立型企業」への脱却を模索しています。
賃上げを継続するために行政に期待する支援策×業種

中小企業の賃上げは地域づくりの起点
経営者にとって賃上げは、地域社会への投資といえます。自由記述では、地元で育った人材を地元企業が大切に育てる地産地消の循環が、地域を豊かにするといった思いが綴られています。また、所得向上による地域内での資金循環や若者の定着が、地域の活性化と持続可能な社会の実現に不可欠であるとの認識が示されました。
中小企業が賃上げを継続するためには、自助努力だけでは限界があります。行政には、「社会保険料の事業主負担減免」や「下請法・独占禁止法の厳格な運用による価格転嫁の強化」といった、現場の声を反映した実効性のある支援策が求められています。
[調査要項]
| 調査期間 | 2月26日~3月9日 |
| 回答企業 | 489社 (建設業87社、製造業125社、流通・商業103社、サービス174社) |
| 平均従業員数 | 38.7名(中央値12名) |









