活動報告

第65回定時総会(4月27日)

中小企業家の矜持で、人を生かす、人が生きる愛知を創ろう

~労使見解に基づく人間尊重の経営で、地域に幸せをもたらす「地域未来創造企業」へ

多くの仲間と共に今後を展望する
多くの仲間と共に今後を展望する

416名が参加して

4月27日、第65回定時総会がウインクあいちにて開催され、当日は416名が参加しました。

冒頭、会長の高瀬喜照氏は「苦しい時に仲間の存在が支えになる。厳しい状況だからこそ人間尊重の経営が重要で、共に助け合うことのできる新しい社会をつくっていこう」と呼びかけました。

来賓の愛知県経済産業局の薮下裕晃中小企業部長(大村秀章知事代理)からは、「中東情勢などのさまざまな課題がある中で、中小企業が愛知県経済を支える存在であり、愛知県としても現場の声に耳を傾け、支援を準備していくために、同友会にもお力添えいただきたい」との期待を込めたあいさつをいただきました。

総会議事では2025年度の経過報告、決算報告、新年度役員選出などが行われ、新年度会長として佐藤祐一氏、副会長に加藤昌之氏、代表理事に明石耕作氏がそれぞれ就任し、5年ぶりに会長・代表理事が交代となりました。

全体課題提起を受け3つの分散会で討議

明石代表理事は新年度の活動方針で、「人口減少・賃上げの課題がある中で、労使見解に基づく人間尊重経営に取り組むこと。『中小企業家の矜持』とは、誇りを持って人を大切にし、地域を支え、未来に誠実に挑戦し続けること。同友会理念の総合実践で2022ビジョンを実行しよう」と呼びかけました。

総会議事終了後には、明石代表理事の全体課題提起「わが社にとっての『中小企業家の矜持』とは」を受けて3つの分散会が設営されました。参加者は、第1分散会「ものわかりの良い経営者になっていませんか~労使の『対等な』関係とは何か」、第2分散会「わが社の存在意義は何か~地域・日本の未来にコミットする企業に」、第3分散会「学んで実践! 会社は本当に変わっていますか~仲間と共に企業変革のチャレンジを」に分かれ、座長による問題提起とグループ討論を行いました。

今回の定時総会では中東危機を踏まえ、先達の言葉が再確認されました。特に1974年の中小企業問題全国研究集会(長崎)での「決して悪徳商人にはならない」という声明文は、現代の経営者にとっても重要な意義を持つことが改めて確認され、同友会の仲間と共に、危機を乗り越える気概を新たにした定時総会となりました。

【全体課題提起】危機こそ、中小企業家の矜持が試される

~私・わが社はどのように危機を乗り越えていくか

明石 耕作氏  (株)トヨコン

全体課題提起を行う明石新代表理事
全体課題提起を行う明石新代表理事

「矜持」とは

「矜持」とは、自らの役割と責任に誇りを持ち、行動で示す姿勢です。「中小企業家の矜持」とは、「誇りを持って、人を大切にし、地域を支え、未来に誠実に挑戦し続けること」と定義しました。

第1次オイルショックが発生していた1974年、同友会は「決して悪徳商人にはならない」と宣言しました。現代でも資材不足の中で必要なものを買い占め、高く売ることが起こるかもしれません。そのような状況でも、必要なものを分かち合い、共に危機を乗り越えることが「中小企業家の矜持」ではないでしょうか。

先日、岩手で開催された中小企業問題全国研究集会(全研)では、(株)八木澤商店・代表取締役の河野通洋氏が東日本大震災からの再建事例を報告されました。河野氏は「自社も大変な中で仲間と支え合った。本当に何もないところから立ち上がり、今では同友会の仲間も増えている」と語り、その姿に矜持を感じたことを覚えています。

社員の主体的挑戦で危機を乗り越える

当社は1963年に父が創業。私が社長になった当時の一社依存度は85%でした。しかも、取引先の合併と国内製造業の海外移転の波もあり、「このままでは会社が潰れる」という危機感を覚えた時に同友会と出会いました。

2003年に同友会へ入会し、経営指針も作成しました。しかし、社員と共に頑張っている中でリーマンショックが起こり、早期退職を募ることになってしまったのです。辞めた方だけでなく、残った社員も深く傷つけてしまいました。「こんな悲しい思いを社員に二度とさせてはいけない」との覚悟が、私の矜持となっています。

コロナ禍では社員がマーケティングオートメーションを提案してくれ、対面営業ができない中でも新規提案が継続できました。社員の主体的な挑戦によって危機を乗り越えたことで、「社員への信頼こそが会社を支える」ことを実感しました。

人が育つ場をつくる

同友会で多くの役を経験する中で、感じたことがあります。それは「自社経営だけでは中小企業家にはなれない」ということです。社員との共育ちの中で、「人の変化」に触れたことが私にとって大きな学びでした。共育講座でのグループ討論を通じて自信を持ち、成長していく若手社員の姿。新入社員研修で主体的に発言する若者の姿を見て、人が育つ場をつくることも「中小企業家の矜持」ではないかと考え始めたところです。

活動方針では「2030年に会勢5000名」の目標を掲げました。まだ同友会を知らずに悩んでいる経営者は大勢います。危機の時には「伝えること」が大切だと私は考えています。悩んでいる経営者に同友会の存在を知らせ、我々自身が中小企業の役割と価値を社会に発信しなければなりません。

あなたの中の「中小企業家の矜持」は何か。これから何をしていくのか。共に考え、共にこの危機を乗り越えていきましょう。

第65回定時総会 分散会(4月27日)
失われた40年にはさせない!

~中小企業家の矜持で未来を創ろう

今総会の全体会での明石耕作代表理事による課題提起を踏まえ、3つの分散会で2026年度の活動重点を部門別に深めました。本稿では各担当副代表理事による分散会での問題提起の概要を紹介します。

第1分散会「ものわかりの良い経営者になっていませんか」

~労使の「対等」な関係とは何か

座長 磯村 太郎氏  サン樹脂(株)

磯村 太郎氏
磯村 太郎氏

「人を生かす経営」を改めて考える

経営環境が厳しさを増しています。中東情勢の緊迫化による価格高騰や供給制約などの影響が出ており、この影響の大きさと長さは見通しが立ちません。また、最低賃金1500円の政府目標を見据え、既存社員の給与改定にも着手する必要があり、今後も賃上げの機運は高まっていくと予想されます。厳しい状況だからこそ、自社の存在価値を見直し、全社員が一丸となって力を発揮できる企業づくりが求められます。

経営者にとっては企業の存続は必須ですが、社員にとっては必須に「なりうる」要素です。経営者と社員の考え方は異なるという前提を、改めて確認する必要があります。では、一緒に会社を存続させようと団結できる関係とは、どのような関係でしょうか。

そのヒントは全て『労使見解』にあります。この文章を自社と照らし合わせながら読み込んで、各社で実践し、その経験を自らの言葉で語ることで、同友会全体に「人を生かす経営」が広がっていきます。この第1分散会から人を生かす経営の実践を広めていきましょう。

労使関係について議論を深める
労使関係について議論を深める

労使の信頼関係を確固たるものに

社員の目標設定が低いことや、設定した目標を達成しないことが本質的な課題ではありません。自社の存在価値を社員と共有できていない、経営理念が社員の日常の行動につながっていない、経営理念が迷ったときの判断材料になっていないことが、本質的な課題ではないでしょうか。社員を、業務を遂行するだけの人手としてではなく、パートナーとして関わっているか、常に考えていく必要があり、労使の健全なコミュニケーションについても経営者の責任が問われています。

以前聞いた故・赤石義博氏(元中同協会長・相談役)の話です。社員が「自社が自分の砦」だと思い、全社員が外部の状況を鋭敏に感じ取る針となり全身がハリネズミのような状態になった時が、真の全社一丸体制だと仰っていました。砦とは、自社が社会貢献の場・暮らしを守る場・人間的に成長できる場として存在することです。全社員が力を最大限に発揮できる企業は、地域の希望になりますし、永続する企業となります。

経営環境が厳しさを増す中ですが、皆さんで学び合い、社員や地域にとっての灯になるような企業をつくっていきましょう。

第2分散会「わが社の存在意義は何か」

~地域・日本の未来にコミットする企業に

座長 城所 真男氏  重機商工(株)

城所 真男氏
城所 真男氏

「憲章草案」を指標に

自社の存在意義とは何か―。それは、「社会や顧客の課題に応えていける会社なのか」「自社の強みは何か」「経営者の思い、哲学」の3つが重なり合ったものと考えています。オイルショックさなかの1974年、同友会は「決して悪徳商人にはならない」とする声明文を採択しています。危機の中にあって、揺らぐことのない中小企業の存在意義を宣言したものとして、同友会理念の1つ「国民や地域と共に歩む中小企業」として受け継がれています。

自社の存在意義を測ろうとするとき、売り上げや利益、社員数などが挙げられますが、同友会で学ぶ皆さんが「社会の課題にコミットする企業であるかどうか」を判断する上では、全国の会員の知恵を形にした「中小企業憲章草案」と「中小企業家の見地から展望する日本経済ビジョン」が指標になります。経営指針の内容がこれらと連携したものとなっているかに着目すると、自社の見え方も変わってきます。

当社の経営指針書の中には、中小企業憲章草案の10項目、それに対応した日本経済ビジョンの項目、SDGsの項目、これらを受けて自社が取り組む項目を一覧にしています。

これらに取り組むことは全て、地域未来創造企業の実践につながります。この2022ビジョンに向かうことこそ、我々が今後取り組んでいくべきことであり、その目的は国民が豊かに安心して暮らせる社会の実現です。

当社では地域の人たちとの関係づくりとして、絵本作りや読み聞かせ、「ZEBの建物を学ぶ」をテーマにした演劇の上演、東山動植物園の絶滅危惧種ツアーの企画にも取り組んでいます。これらは全て中小企業憲章草案などの考え方に触れ、経営指針を社員と実践する中で生まれたものです。

当社で制作した絵本の最後には「こんな地域になるといいな」と話し合いながら描いていただいたイラストがあります。このような地域をイメージしながら仕事をしていくと楽しいのではないでしょうか。

自社の存在意義についてグループ討論
自社の存在意義についてグループ討論

連帯して企業づくり地域づくりを

1974年1月1日発行の中小企業家しんぶんには、当時の名古屋同友会(愛知同友会の前身)が第1次オイルショックの際に訴えた「人、物、金の留意点は」という経営方策が取り上げられています。当たり前のことが書かれていますが、全て実践していると胸を張って言える人はなかなかいないと思います。改めてこの内容を噛みしめ、自分が本当に実践できているのかを確認しましょう。

人間は順番にしか成長しないものです。学んで少しずつ、1つずつでも何かを掴み、実践していくしかありません。私自身、入会当初と比べると理解できるものが増えましたが、2003年から行われている中小企業憲章制定運動も、自分で解釈し実践するには時間を要しました。

中小企業憲章・振興基本条例にあるような地域や中小企業を目指すには、同じ地域の人と連帯を組むことが必要です。同友会は時間をかけて議論することを大切にしています。増強で同友会理念に賛同する会員を増やし、同じ地域の人と連帯する。地域づくりは一体です。

愛知県内では約半数の自治体が条例を制定していますが、今後求められるものが地域ビジョンづくりです。地域の中で中小企業がどんな役割を果たしていくのか、そのリーダーシップを取ることができるのは私たちです。

国民や地域と共に歩む中小企業として、みんなで連帯していきましょう。

第3分散会「学んで実践 会社は変わっていますか」

~仲間と共に企業変革のチャレンジを

座長 松村 祐輔氏  (株)BeBlock

松村 祐輔氏
松村 祐輔氏

70年代と酷似する現況

私は同友会活動3層に分けて捉えています。第1層は「思想、理念」で、ここに『労使見解』や人間尊重経営の考え方が位置づきます。第2層は「日常活動」で、日々のグループ会や地区例会です。第3層は「応用」で、地区を越えて全国行事に参加する、経営指針の発表会に仲間を呼ぶ、地域づくりを推進する、などの活動です。

今、愛知同友会は第2層の「日常活動」に強く引っ張られているのではないでしょうか。第1層の「思想、理念」を理解した上で、第2層が展開されることが必要です。

1975年に発表された『労使見解』が議論された背景には、1973年のオイルショックによる急激なインフレ、5年間で倍増した大卒初任給、大企業中心の経済政策、相次ぐ労働組合の結成などがありました。当時は「総資本」対「総労働」の対立構造の中、社員が1人でもいれば資本家とみなされ、中小企業は労働組合側との激しい対立に苦しみました。こうした中で、10年以上の議論を経て『労使見解』が提示されました。当時、人間尊重経営の考え方は、かなりのインパクトがあったと思います。

1974年1月1日の中小企業家しんぶんには、「難局にどう対処する 人、物、金の留意点は」として、当時の難局に対処する経営方策が載っていますが、現況と酷似しています。

同友会活動は自社の力になっているかを問い合う
同友会活動は自社の力になっているかを問い合う

今こそ率直な経営談義を

現在の外部環境は、2026年初以降、米国のベネズエラへの軍事介入、イスラエルと米国のイラン攻撃とその応酬、ホルムズ海峡封鎖による原油高騰などがあります。また、物価上昇を上回る賃金上昇がなければ実質賃金は下がりますが、金利が上がり、借入れは慎重にならざるを得ません。中東情勢、賃上げ、円安、金利上昇、インフレ、原価高騰の6重苦をどう乗り越えるかが我々に突き付けられています。

この難局を乗り越えられる支部や地区活動が求められます。苦しいことを苦しいと言える率直な経営談義をもとに、学び、支え合い、励まし合う活動を進めてください。そのためにはまず、自社を数字で把握することです。今年必要な固定費やキャッシュはいくらか、売り上げの変動とその影響、材料の調達予定などを数字で把握し、ファクトを分析します。そのために欠かせないのが同友会のグループ討論です。討論で異業種のさまざまなファクトを聞き、それらを紡いで言語化し、経営指針に反映する。現情勢ではそれを短期で見直すことが必須です。

経営とは、ゴールなきマラソンです。同友会で互いに学び合い、高め合っていきましょう。

第65回定時総会ハイライト

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