活動報告

【連載 第2季】通算第14回/我が社と労使関係

労使の信頼関係こそが次世代への価値となる

石井 元博氏  東海EC(株)

石井 元博氏

私は特に祖父(創業者)から後継を期待されていたようです。しかし入社時期にバブル景気崩壊の影響が押し寄せてきており、リストラをしているわけでもないのに、受注が減った影響もあったのか毎月のように社員が退職していきました。それが2~3年ほど続き、会社が一体どうなるか不安を抱えていました。

さらに、同じ部署で一緒に仕事をしていた先輩社員からある時「EC(石)の上にも3年だなぁ」という冗談とも皮肉ともとれることを言われた記憶があります。結局その先輩もほどなく退職しましたが、「そんなにひどい会社なのか」と悔しく思っても、入社間もない私に何かできるわけもなく悶々としていました。

私は社長の息子、3代目として入社したため、社員からどのように見られているか、どうしたら私の話に耳を傾けてもらえるかということは、常に意識してきました。仕事に対して真摯に取り組む、約束を守る、公私のけじめをつけるといったことの積み重ねでしか信頼は得られないと理解していたので、それを実践してきたつもりです。過去には社内で心無いことを言われることもありましたが、良い意味で私に対する見方を変えてもらえた感触もあります。

私にとっての労使関係は、待遇や報酬の改善はもちろん大事ですが、それ以上に社員との信頼関係をどう築いていくかということに尽きると思っています。

しかし、リーマンショックによる業績悪化に伴い2010年春に早期退職希望者を募らざるを得ない状況になりました。そして実際に18名の方が会社を離れることになった事実は私の心の中に重く残っています。社長就任前のこととはいえ、経営幹部の1人としての責任を感じています。このことで身に染みたのは、当たり前のことではありますが、会社は人で成り立っているのだということです。

この出来事から16年が経過し、業績面では取引金融機関からも一定の評価をいただけるようになりました。それでも、果たして会社が復活したといえるのか、という問いは今も消えません。

同友会に入会し、『労使見解』に初めて触れた時、冒頭部分で経営者の責任について触れられているのを知り大きな衝撃を受けました。それを知っていながら、リーマンショック後の混乱期に活かすことができなかった後悔を抱えています。

これから先は次世代にどうやって自社を引き継いでいくのか、そして次世代に残す価値のある会社にするためにはどうすべきか考えていく段階に入りました。その土台になるのは、経営者と社員が信頼し合える関係を築くこと、すなわち労使見解の実践に尽きると信じて、一歩ずつ取り組んでいこうと思います。