活動報告

第62回定時総会 基調報告(後編)4月25日

地域の未来を拓く、自立的で質の高い高付加価値企業
~ナニワ中小企業の覚悟と生き様

堂上 勝己氏
梅南鋼材(株)代表取締役
大阪同友会会長、中同協副会長

同友会理念の実践を力強く語る堂上氏

4月25日、第62回定時総会が開催されました。総会議事に引き続いて行われた基調報告に、大阪同友会会長の堂上勝己氏(梅南鋼材代表取締役)をお招きし、「地域の未来を拓く、自立的で質の高い高付加価値企業~ナニワ中小企業の覚悟と生き様」をテーマに報告いただき、参加者に大きな感動が広がりました。先月号に続き、後編として堂上氏の報告概要をご紹介します。
基調報告(前編)はこちら

信頼関係を広げること

バブル崩壊の影響で、販売先から受け取った手形を決済できず、弊社もかなり苦労しました。その経験から、協力会社との信頼関係をより強くするために、2004年からは「手形決済」から「現金決済」に切り替えました。そのことで仕入先には大変喜んでもらえ、「プラモデル納品」などで急ぎの仕入れが必要になった時でも、最優先で対応してくれています。

また、金融機関との信頼関係も重要です。相手の立場に立って、何をすることが求められているのかを考え、それを行動に移し続けることが、信頼関係を強くしていくことにもつながると思います。そうして信頼関係を強くするなかで、「経営者保証」を外してもらうことができました。

「魅力ある会社」とは

「魅力ある会社」の共通点として、経営者が同友会理念「3つの目的」にある「よい会社づくり」を実践し、その内容を外部へ発信していることが挙げられます。その外部発信の機会のひとつに「経営指針発表会」がありますが、弊社の場合は「10年先のトレンド(少子高齢化の問題、DX(デジタルトランスフォーメーション)、GX(グリーントランスフォーメーション)等がどうなっているか)」に触れながら、「経営理念」・「10年ビジョン」・「方針」・「計画」を解説しています。

この経営指針発表会は、社員との信頼関係を強くする重要な機会ですので、全社員はもちろんのこと、顧問の先生方(弁護士、税理士、社労士、中小企業診断士)、金融機関、新入社員のご家族の方、同友会会員の皆さんにも参加いただいています。

企業発展のヒントを模索する参加者

これからの時代を担う若者の実態

現代の若者は、「ワーキングプア」や「ヤングケアラー」などのさまざまな問題を抱えていますが、その背景のひとつに「収入の問題」があります。親の収入によって子供の将来が決まってしまうほど、現代の若者は非常に厳しい状況下に置かれています。

貧困家庭では、家計の足しにするために学生である若者がアルバイトに追われている実態もあり、私はそれを知った時には愕然としました。

特に「収入の問題」は、労働者の約7割を雇用している中小企業にとっては切っても切れない問題で、これを解決できるのは中小企業だと考えています。親の収入が上がれば、次代を創る若者が抱える問題も解決に向かっていけると考えます。ですから弊社も、付加価値の高い事業を生み出し続けて、社員の所得を上げ続ける努力をしなければなりません。

地域の課題を地元企業の力で解決する

次代を創る若者たちのために

弊社は、経営理念「Mission(使命)」にあるように、「私たちはモノづくりのシンカ(進化・深化)を通して社会の発展に貢献する会社となること」をめざしている会社です。それには、地域の若者たちの生の声を弊社に反映することが必要だと考え、若者と関わり、対話する機会を意識的に設けてきました。

また弊社は、若者たち自身に「働くことの目的と楽しさ」を見つけてほしいと考えており、学校の出前授業やインターンシップなどを通じてその想いを伝えています。

そのような活動を通じて弊社は、2022年の「第5回学生に教えたい“働きがいのある企業”大賞」で優秀企業賞を頂くことができました。大変嬉しく感じています。

「働くことの目的と楽しさ」を若者たちに伝え続ける

新卒採用を始めたきっかけ

弊社は2004年から新卒採用を始めましたが、その理由のひとつに、最新鋭の機械を使った付加価値の高い新事業を拡大するという目的がありました。当時の弊社は社員の平均年齢が50歳を超えており、最新鋭の機械を導入しても、間違った操作で機械を壊してしまわないかという恐れから、社員は誰も使おうとしてくれませんでした。

その時、私の頭に「もしかすると、若者であれば、最新鋭の機械を使いこなしてくれるのではないか」という考えがよぎりました。それまでも私は、学校での出前授業やインターンシップ等で若者と対話する機会が多くありましたので、若者にはそのような印象を強く持っていました。そうしたことから、弊社も新卒採用に踏み出すことを決断したのです。

しかし、当時の弊社の労働環境はいわゆる3K(きつい・汚い・危険)でしたので、労働環境の整備を進めながら新卒採用を行いました。その時に入社してくれた若い社員の1人が、入社から1カ月ほどで最新鋭の機械を動かせるまでに成長してくれ、とても嬉しかったです。

国民や地域社会と共に歩むために

経営者の役割は、「社員に会社と地域の発展の原動力になってもらうために、どのように育てるか」です。それは一朝一夕にはいきませんので、「10年ビジョン」といった長い視点で取り組むこと、それには社員が成長する場所である会社を維持し発展させ続けることが必要です。そのため、弊社もあらゆる「経営リスク」を想定して準備してきました。

そのひとつに2020年の「事業継続計画 レジリエンス認証・ゴールド取得」があります。これは、災害から社員やお客様を守ることを目的に、「社員の連絡網作成」や「非常時持ち出しグッズの準備」、また緊急時に「他社と連携して製品を供給できる仕組みをつくる」ものです。これを一般的には「BCP(事業継続計画)」と言いますが、これからの時代の中小企業はこのBCPに取り組むことが不可欠といえます。

新しい時代への準備を

さらに、新しい時代に向かって、これからの中小企業にも「脱炭素」や「カーボンニュートラル」への対応が求められます。

弊社では2010年に「エコアクション21」を取得して、事業活動に係る炭素排出量の把握や電気使用量の見直し、ITを駆使した紙の排出削減などを行ってきました。最初は経費の電気代等を削減したいという考えからこれを始めたのですが、何のためにやるのかを追求するなかで、現在は「綺麗な地球を子どもや孫に残していきたい」という想いで続けています。

また、若い社員の昼食を見た時に、若者の将来の健康に不安を感じました。そこで弊社は「健康経営優良法人認定(2019)」を取得し、楽しみながら社員と健康管理に取り組んでいます。

同友会理念にあるように、私たち経営者は、常に「10年先のトレンドがどうなっているか」を考え、時代の変化に取り残されないよう、社員と共に会社を前向きに変革し続けることが重要です。これからも、共に「よい会社づくり」を実践し、地域になくてはならない会社となっていきましょう。

【文責:事務局 墨】