創立50周年記念式典 パネルディスカッション ―過去から現在、そして未来へ―

過去から現在、そして未来へ
創立50周年記念式典 パネルディスカッション(7月9日)

パネリスト
●遠山 昌夫氏 菊水化学工業(株)最高顧問 (1962、1973~78年度代表理事)
●鋤柄修 氏 (株)エステム会長(1995~2004年度代表理事)
●加藤 明彦氏 エイベックス(株)会長(2011年度~現代表理事)
コーディネーター
●加藤 輝美氏 (株)ケイ・クリエイト会長 (理事)

 

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「背水の陣」の創立期

【加藤輝】
 まず創立会員であり初代代表理事の遠山さんに伺いますが、同友会創立当時は中小企業にとってどのような時代で、どのような想いで同友会を創立されたのでしょうか。

【遠山】
 愛知同友会創立当初は、残念ながら高尚な理念のようなものはありませんでした。創立時のメンバーは脱サラして起業した人や創業間もない人が多く、経営の事が何もわからない状態でした。
 そんな人たちが「中小企業にはどこの銀行もお金を貸してくれない」という同じ体験をして、「中小企業家は結束しないと何もできない」と気づいたのです。最初から「背水の陣」「前に進むしかない」状況でした。

【加藤輝】
 会の理念について、1966年に愛知同友会は「4つの柱」を発表しました。その中で「経営者の姿勢を正す」とありますが、この意味をお聞かせ下さい。

【遠山】
 当時、会社のトップだと言って威張ったり、会社を私物化する経営者もいたのです。それでは部下は離れていきます。経営者が偉いわけではありません。

 経営者に必要なのは、同じ人間として社員と一緒に会社を盛り立てるリーダーとしての姿勢です。中小企業がやっていくには経営者の姿勢を正すしかありません。

 

 

硬直化した会組織を変革

【加藤輝】
 次に鋤柄さんに伺います。鋤柄さんが代表理事になられた時期はバブル崩壊後の「失われた10年」の中、愛知同友会も最大の過渡期だったと思います。同友会をどのように変革してきたのでしょうか。

【鋤柄】
 私が代表理事になった頃は組織が硬直化して機能せず、会勢はじり貧と「半分腐りかけの会社」の状態でした。これは逆にチャンスだと思い、改革に取り組みました。まずは会のトップである会長・正副代表理事が姿勢を正し、明確に役割分担を行いました。

 そして130名いた理事数を削減しました。反発も強かったのですが、最終的に理事数は35名ほど、人選も「各地区や組織の利益代表」ではなく「愛知同友会全体を考えて力を発揮する人」への転換を図りました。

 次には自分の所属組織だけでなく愛知全体を考えてくれる役員の育成です。約半年かけて同友会の全容を学ぶ「役員研修大学」を開き、これが成功したと思います。

【加藤輝】
 改革の集大成が1999年に掲げた「99ビジョン」だと思いますが、エピソードをお聞かせ下さい。

【鋤柄】
 いろいろ議論を重ねた結論は、難しいことを並べ立てるのではなくシンプルに、「自立型企業づくり」と「地域社会と共に」という2つの旗印にまとまりました。

 「自立型企業」はよく理解されても、「地域社会と共に」がなかなか理解されません。理解され具体化されるきっかけは、2001年の「金融アセスメント法制定運動」だと思います。

 難しい事でもトップが粘り強く語り続け、機が熟すのを待ち、その時期が来たら一気にみんなで進めていく、そんな同友会運動のあり方を体験しました。

 

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運動の成果をさらに深く広く

【加藤輝】
 鋤柄さんが代表理事の時期に大きく支部編成があり、その時に支部長として活躍されたお一人が現代表理事の加藤さんですが、当時の状況と、将来へ向けての展望をお話し下さい。

【加藤明】
 私が支部長になった時は、5支部が地域ごとに3支部に再編された時でした。元の支部ごとにやり方も違うし話も噛み合わず苦労し、そこで同友会の文献を全部読んでつくったのが「活動の手引き」です。これにより支部内でも話ができるようになりました。

 またここ10年間、会勢は伸び続けていますが、これは鋤柄さんの時期に「99ビジョン」など、先を見据えた戦略や人材育成を行ってきた成果が今現れているのだと思います。同友会でも会社経営でも、指針づくりや人材育成などは、長年かけてようやく結果に表れてくるのです。

 今後の運動ですが、現在出している「同友会らしい黒字企業づくり」も、66年「4つの柱」で言われたことですし、中小企業憲章や条例の運動も「99ビジョン」の中身を言葉を変えながら展開していることです。

 将来に向かってやるべきことは、何か特別に新しい事ではなく、50年間かけて積み上げてきた運動の成果を踏襲し、さらに深めていくことであると思っています。

【文責 事務局・政廣】

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